人生初のママチャリ?

38歳にもなって、いやはやママチャリというものを自分で買うのは初めてである。
北海道で開催される24時間耐久ママチャリレースをめざし、まずは富士スピードウェイでのママチャリ耐久を来年出ようかと、つまりママチャリといっても、れっきとしたレーサー・ママチャリなのである。
そしてレーサーであるからこそ、厳格なレギュレーションに遵法することが求められる。
前カゴは必須。スタンドも必須。クリートペダルは禁止。ギヤは内装三段まで・・といった個別ルールを列挙するよりも、次の一条がその高邁な精神を一言で表している。
「ママチャリとしての美しさを損なわぬこと」
つまり、カーボンフレーム&カーボンサドルにチタンの前カゴ&スタンドで10kgを切る世界最軽量のママチャリとか、ママチャリなのにDURAACEの18段変速が入っているとか、それはもはやママチャリの美学から逸脱している。
ヨーロッパがロードレーサーの歴史を生み出し、アメリカがマウンテンバイクの文化を切り拓いた。技術立国ニッポンがチャリ文化に何をもたらしたか?

ママチャリである。ママチャリこそ技術立国ニッポンの誇る名機といえよう。

ママチャリにはフレーム形状でいくつかのバリエーションがある。
剛性を高めたストレートツインチューブ。スタッガードタイプとも呼ばれるこのタイプは、外装の多段変速を装備するものも多く、ハンドル形状もストレートに近く、もっともスポーツ性の高いママチャリだ。スタンドはサイドスタンドが似合う。このタイプでは10kgを切る完全なスポーツモデルも発売されている。

剛性を高めつつ乗降りの利便性も確保した湾曲型ツインチューブ。ダブルループタイプとも呼ばれるこのタイプは、現在のママチャリではもっとも広く見られる。

そしてもっともオリジナリティの強いのが、U型シングルチューブフレームタイプ。
いわばママチャリの元祖とでもいうべきこのタイプは、スカートをはいた主婦が颯爽と乗り降りできるよう作られている。剛性はもっとも低い。ストレートハンドルやサイドスタンドといったファッション性の高いものは似合わない。ママチャリ然としたあの湾曲ハンドル、そしてスタンドもがっしりとしたセンタースタンドが装備されているのが普通だ。後部荷台、フルクローズのチェーンカバー、後輪部の巻き込み防止メッシュなど、ママチャリのフォルムを特徴づける「主婦っぽい」ディティールを頑なに守りつづけている。

ママチャリとしての原点的美しさからU型シングルチューブフレームを買うことにした。

(2008年12月)

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