導入のいきさつ

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無敵の運搬機材。小型貨物車。

IMG_1538四輪の免許をとったのが中年になってからなので、クルマのことはくわしくないのですが、軽貨物車エブリィに乗ったことで、お仕事カー(商用車)こそ、わが一家にいちばんぴったりの運搬機材だと開眼しました。

エブリィはこの上ない一台だったのですが、自転車やら野営道具を積んだ軽自動車のなかで一家三人が眠ると厳しい酸欠に苦しむようになり、娘がちいさいころはまだしも、すっかり大人料金に成長した今では、ものすごい寝相のわるさによって迫害され、眠ることもままならず。

ということで、愛してやまない軽貨物車両から小型貨物車両へとすこしサイズを大きくしました。

 

マニュアルミッション、フロント三人掛けシート、白ボディのはずが・・。

妻と娘はマニュアルミッションの前三人掛けシートをすこぶる推薦し、私はヂーゼルに乗ってみたかったので、この新機材の導入は順調かに思えたのですが、意外にもカラーリングで対峙。

ホワイトに樹脂パンパーの完全無欠商用車を推挙した娘と私に対して、妻は泰然としてダークグレーを主張。外資系化粧品会社に勤務する職業婦人として、いかにも商用車然とした白のハイエースはあまりに恥ずかしいとのこと。なにをいうか、すぐそこの資生堂の事務所をみてみなさい、世界の五本指に入るワールドワイドな化粧品会社のクルマかてみんな白の商用車やないかと申しましたが、妻はごにょごにょとくぐもるだけで、らちがあきません。

最後は娘と私のふたりでお金を出しあい、妻抜きで、ホワイトのヂーゼル・マニュアルのしぶいハイエースを買おうとしましたが、契約直前になって、妻が大口の献金拠出を申しでました。その拠出額の大きさに圧倒され、あっさりホワイトを捨ててグレーに決まりました。

しかしディーラーに行って言われたのは、グレーはスーパーGLというグレードの専用色ということで、マニュアルミッションと前列三人掛けシートはないとのこと。悩みましたが、グレーが拠出金の絶対的条件なのでしかたありません。

こうして妻の拠出金と娘の貯金の半分と、のこりを私の会社の負債で購ったのが、この運搬機材です。一家全員でお金をだしあって買ったところに、この機材のすばらしさがあります。

2009年10月に納車されました。

 

1年経過・3万km時点

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用途は遠征がメイン。ディーゼルがこころづよい

クルマの運転はこわいし何かと面倒くさいので、片道6kmぐらいまでなら、足で走った方が気楽。なのでクルマの用途は、荷物を運ぶときや、遠征がメイン。なるべく乗らないようにしてはいるのですが、遠征が多いので1年で3万キロほど走りました。

距離が伸びることは予想できたので、ディーゼルエンジンを選択しました。

ディーゼルはガソリン車にくらべて新車では50万円ほど割高なので、導入時に悩むところですが、試乗した2000ccのガソリン車があまりに非力で、マニュアルならまだしも、オートマしか選択肢がなかったので、あまりこちょこちょ変速されるのもストレスなので、トルクの太そうなディーゼルにしました。

私の用途には正解だったと思います。

とにかく、力強い。少々の登坂なら2500回転以内のハイギヤでぐいぐい上ってくれます。ほとんどのシチュエーションで2千回転前後でことたりるので、変速ショックも微細で、エンジンが唸るようなこともなく、落ち着いた気分になれます。

踏み込むとけっこうな加速をします。オートバイクでいうと、ZZR1100のゴリゴリっと加速していく感じ。しかし回転がちょっと上がると、どうしようもなくなさけない感じになります。やる気がでないので、すごく安全運転になりました。

 

燃費は高速12〜14km、街中9〜10km

予想外にうれしかったのが、燃費のよさ。高速中心の遠征なら、ワンタンクで700km走ってくれます。高速道路で80キロ走行に徹していると、リッター14kmほど走ってくれます。カタログ値よりもいい燃費がふつうに出ます。

 

サスペンションはトランポリン

噂にはきいていましたが、リヤショックの板バネはトランポリンのようです。前席はさほどでもないですが、後部シートに乗る家族にはちょっときついかも。段差でどかーんとくるのが不快なので、スピードをだす気がせず、すごく安全運転になりました。

サスペンションの変更は、貨物車なので構造変更が必要とのことで、ちょっとたいへんです。

 

圧倒的に豊富なアフターマーケットパーツ

ハイエースがうれしいのは、とにかく自分の用途にあわせて徹底的に熟成するに足る豊富なパーツ類が用意されていること。オートバイでもそうですが、カスタムが終わってしまうと何となく別の車両が気になるようになってしまうところがありますが、ハイエースを待ちかまえている無限の可能性は、永遠に時間もお金も飽くことがなさそうです。

 

ローカル線を運転している感じが旅心を誘う

ディーゼルエンジンの低回転の響きは、ごろんごろんとなんとも旅心を誘われます。

ローカル線の運転士になったような気分で、つい遠出したくなります。

 

1年時点までの改良ポイント

20150227075121こよなく愛した軽商用車エブリィでの鍛錬と経験のおかげで、ハイエースのほうも最初の1年で順調に必要な改良を行うことができました。

写真はエブリィでの野宿のひとこま。ハイエースの納車待ちの時期におこなったラストツアーです。

これぞハード・ロハスの集大成。自転車2台を含むこれだけの荷物に囲まれつつも、車内で三人で就寝してしまいます。道具を徹底的に熟成させていく試行錯誤は、俳句をひねるような楽しさがありました。

それにしても、このエブリィにくらべると、うちのハイエースもまだまだ未熟です。

 

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灯火類

  • バレンティLEDテールランプ
  • バレンティLEDハイマウントストップランプ
  • HIDヘッドランプ
  • 高効率フォグランプバルブ
  • 9レイヤーLEDポジションランプ
  • LEDライセンスランプ
  • 室内灯はすべてLED化およびクリヤーレンズを装着
  • 純正残光式フットランプ
  • BOSCH社製ワイパーブレード

運転操作系統

  • クルーズコントロール
  • アルミフットペダル
  • 木製シフトノブ
  • バックモニタ(純正のバックドアミラーは取り外し)
  • ハンドルカバー
  • ユピテル社製ミラー内蔵型GPSレーダー
  • オグショー社製アームレスト

内装

  • フロア全面フローリング加工(右フルステップオーバー・左ハーフステップオーバー)
    • セカンドシートのスライドレール埋設
    • タイダウン用フック4箇所設置
    • テーブル設置土台2箇所設置
  • 左右後部窓埋め
    • ガレージソリューション自在フックベース設置
    • リングフック自在レール設置
  • 左右に荷掛バー設置
  • 後部LED室内灯増設
  • フリップアップベッドキット(オグショー社製)
  • フロントカップホルダー
  • リヤカップホルダー(DAD社製)
  • 荷室カップホルダー(シンケ社製)
  • 純正インテリアパネル
  • 純正カーテン

外装

  • 15インチアルミホイール
  • マフラーカッター
  • 純正フロントスカート
  • 純正サイドステップガード
  • 純正リヤスカート
  • 純正グリル

 

それから4年の歳月が過ぎ去った。

DSCF5683どうも最初の1年で完成しちゃったようです。
その後、2015年までの4年間での装備変更としては、壊れたカーナビとミラー内蔵GPSレーダーを交換したのと、16インチホイールを導入し、従来の15インチは冬タイヤ用にした程度。HIDヘッドライトも一度、故障して買い替えたかな。フォグランプも遠征先でよく電球切れを起こしていたのでLEDランプ化。その程度だったと思います。

このクルマでのハイライトは2014年ゴールデンウィークの北海道遠征。北海道上陸後は帰路も含めてすべて下道の二週間。全車中泊の激安旅でした。

 

装備品が減っていく。

走行10万キロを越えてハイエース経験を積んでいくと、おもしろいことに装備的には減少傾向、つまり付けたものをはずしていく流れの方が強かったのです。

何かを加えることは、いいこともある反面、必ず悪いこともあります。加えることによるプラスとマイナスを秤にかけるわけですが、人間力を上げていくと、加えないことのプラスの方が大きくなります。スーパーカブでの世界旅なんかを想像してみてください。ものすごい人間力は必要ですが、究極のシンプルがもたらす自由と喜びは何ものにも変えられないでしょう。

そんなシンプルへの憧れに加え、経年変化によって装備品から劣化がはじまったことも、時がたつにつれ装備品が減っていった理由だと思います。

 

シンプルへの憧れ。エブリィの魂忘れ得ず。

ハイエースというのは、買ったあとにものすごく大きなアフターマーケットがブラックホールのように待ち構えています。お金と手間をかけて自分の一台を作りあげていく楽しみに事欠きません。ただ、私の場合、ハイエースは趣味のクルマではなく会社所有の貨物車。償却期間7年の資産っていうんですか。骨董品ではないので、実用性が劣化すれば別れねばなりません。整備を無上の楽しみにしている人は別かもしれませんが、移動道具・運搬道具として出先での故障・トラブルだけは避けたいと思っています。乗用車の場合、5万キロから10万キロが乗り替えどきでしょうか。ディーゼルハイエースは丈夫なので15万キロを越えても元気いっぱいですが、さすがに樹脂パーツや細部にへたりと劣化が見られるようになってきました。コアな電装系はまだ大丈夫ですが、追加装備の電装系から徐々に故障が目立ちはじめ、年数も5年を越えたこともあり、買い替えも頭によぎるようになりました。

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とはいっても手間と苦労をかけてきただけあって別れはつらい。同じ手間とコストをかけられる気力ももはやありません。

いっそのこと、思いっきりシンプルにふってみようか、ということで、鉄板むきだしの内装がハードな、しかも5ドアではなく4ドアの、ベンチシート前席三人乗り仕様マニュアルミッションのハイエースが買い替えの候補にあがりました。なんのことはない、5年前にエブリィから乗り替えるときにやろうとしたことを、こんな遠回りをしてもどってきた感じです。エブリィに積んでいたアイリスボックスや網棚、ポール類はすべて実家の車庫や部屋の押し入れで活躍しています。捨てずに活用できていたのは、車載専用ではなくシンプルな汎用品だったから。それが5年の歳月を経て、ふたたび車載に・・。シンプルは強い。そう思いました。