(赤坂真理・作家)

福島原発事故では、まったく非道い目にあった。政府見解を信じて、放射能の雨が降った日に5時間も雨ざらしのなか、ふな釣りをした。道行く人に、あ、だいじょうぶなんだと伝えたいがために。しかし、こんな日に道行く人はおらず、ただ被爆しただけで終わった。髪の毛が抜ける。
権力とはそういうものなのだと、初めて肉体で感じた。

【関連語録】

われわれは絶壁が見えないようにするために、何か目をさえぎるものを前方においた後、安心して絶壁のほうへ走っている。
(パスカル「パンセ」)

「知らんということがいちばんの罪。それで、知らん人たちのためにも、自分のためにも祈ります」
(水俣病患者からの聞き取りから。石牟礼道子)