全国にあるため池の数は約21万。ダムはおよそ3千。
ため池は農業文化とのつながりが深いこともあり、歴史上、農業の先進地域だった近畿地方と中国、四国地方で全国の7割を占める。全国のため池の7割は江戸時代以前に造られた。
産業構造の変化や多目的ダムの建造によって本来の役割を終えたため池は、宅地造成によって埋め立てられるケースも少なくないが、生物の生息・生育の場所の保全の目的や、住民の憩いの場として公園化されるなど、新たな役割のもとに現代に引き継がれているものもある。
ため池のタイプ
ため池には大きく分けて山を利用した「谷池」と平地に造られた「皿池」とがある。農地が広大な場合、谷池でためた水を皿池に導水して小分けして利用するので、各ため池は水路で結ばれていることが多い。よく釣り人のあいだでは「野池」という言葉が使われるが、谷池を指す「山池」という語の対義語として「野池」があり、皿池の同義語と考えるのが正確な意味のようである。