日本の天然湖沼の数は平成5年の環境省・生物多様性情報センターの調査によると、480湖

これが完全に総数かというと、ちょっと微妙なところはある。というのも天然湖沼は環境の変化で枯れたり、新たに発生したりもする。何も手を加えなければいずれは自然消滅する運命にあり、湖沼にも寿命があるのだ。また、湖沼の形状をとどめていないなどの理由でカウント外とされている水辺もある。だから480湖という数字はあくまでおおよその目安だと考えた方がいいだろう。(※1)

これに対して日本にあるため池は21万余(農林水産省・農村振興局の平成26年度の統計では全国合計 197,742という数字もある)

天然湖沼を改造したタイプのものも含まれているとはいえ、かなりの少数派。また、ダムに分類されるものは、おおよそ2700基。(2018年に発行された川崎秀明氏の『日本のダム美』には3,000基とある) ため池とダムとで重複するものもあるが、多めに重複分を考えても21万という総数を考えると、誤差の範囲と考える。

単純に計算すると、日本の湖沼のうち人の手によるものが99.8パーセントを占めるという結果になる。(水辺遍路試算)

 

(※1)明治時代の磐梯山噴火に伴う山体崩落で出現した裏磐梯湖沼群だけでも天然湖沼は300を数える。残りの国内総数が180だとすれば、はあまりに少なすぎる気もする。立山の溶岩台地に広がるガキの田の池塘群に見られるような、標高の高い湿原に点在する池塘を天然湖沼の数に加えれば、総数は大きく増えそうだが、属性としては水たまりに近い池塘を天然湖沼に入れてよいのかは議論があるだろう。かといって例えば定常的な川の流れの一部にあるものを湖沼と区分するとなると、これまで地域が池と名づけてきたものを除外しなければならない事態も多く発生しそうである。(2018年12月追記)