「経済成長するほど、農業や地方が疲弊してきたのがこれまでの歴史です。自然を相手にする農業は成長してはいけない。去年のように今年があり、今年のように来年があるのが一番いい。私たちはこれを安定といい、経済学者は停滞という」
(山下惣一・農民作家)
ブータンの人たちは、たぶんそれを「幸福」と呼ぶ。
【関連語録】
日本人は夜という「不活性な時間」を追放した生物で、エネルギー消費量を増やし、「時間」は速まった。気ぜわしく動くほど、「時間」の感覚は短くなる。効率を高め、経済成長すれば、(ものごとに対する)判断は生物学的には短期志向になるという道理だ。
(朝日新聞・本川達也教授の意見から)
本川教授は、あの「象の時間、ネズミの時間」の著者である。心臓の大きさ、ひいては心臓の鼓動の回数によって、すべての生物にとっての時間は条件づけられているという画期的な説。その理論でいえば、エネルギー消費の大きい文明人の一生は短いし、短絡的な判断しかできなくなるというもの。含蓄ある。
彼らは平凡な日常がいかに貴重なものか、考えることはない。失ってはじめて気づく。神様はそのことを教えてはくれない。
(奥田英朗「沈黙の町で」)
「神様はそのことを教えてはくれない」というところがよい。
「ないものはない」
(島根県海士町の再生スローガン)
ないものを数えるより、あるものを生かせ、という言葉をよりシンプルにしたスローガン。
すぱっと切れている感じが突き抜けていて、明日への意気込みを感じる。素晴らしい。
急行電車に乗っていると、止まらない駅のホームにぽつんと男がいて、「あれは自分だと思った」という内容の詩がありましたが、ぼくは、各駅停車の駅にいる人が、豊かでかっこよく見える。
(山田太一)
「江戸時代に戻るなら、大いに結構じゃないか」
(天野祐吉・コラムニスト