【押堀】おっぽり。

大雨や洪水で生まれた独立池沼。群馬県板倉町の池沼はほとんどが押堀とのこと。

【温水ため池】おんすいためいけ。

河川の水温が低く農業用水にはむかない場合、いったん池に水を引き込んで太陽の熱で用水をあたためる目的で造られたのが温水ため池である。長野県に多く、北海道でも見られる。>詳細

【火口湖】かこうこ。マール。

中小規模噴火でできたお釜状の噴火口に水がたまって形成された湖沼。御池(宮崎)、蔵王御釜(宮城)など。一回だけの爆発でできた小規模な火口湖を「マール」と呼び区別する場合もある。
さらにまぎらわしいことに、噴火による溶岩流などで火口や火口付近がせき止められて成立した湖沼は「堰止め湖」とされ、中禅寺湖(栃木)や大鳥池(山形)がこれにあたる。超巨大噴火に伴った大陥没によって生じるカルデラ湖とは区別される。→カルデラ湖、堰止め湖

【カルデラ湖】かるでらこ。盆湖。

噴火の様式の中でも最大規模であるカルデラ破局噴火によって生成されたクレーター状の広大な陥没地帯に水が溜まったもの。日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖(北海道)をはじめ、十和田湖(青森)、池田湖(鹿児島)など四国をのぞく全土に十数湖が分布する。
阿蘇は国内最大級のカルデラではあるが湖は形成されておらず、芦ノ湖はカルデラ内にある湖沼だが成因は堰止め湖なので、カルデラが必ずしも湖沼となっているわけではない。また有史以来、たびたび発生している中小規模噴火による「火口湖」と様態は似るが規模と成立メカニズムが異なる。
→火口湖 →堰止め湖

【漁業権】ぎょぎょうけん。

本来の漁業権は魚などを捕る権利だが、湖沼、河川といった内水面における漁業権は「第五種共同漁業権」といって、やや特殊である。これは実態として多くの場合、漁業者が魚を獲る権利というより、遊漁者から金を取る権利になっている。この権利とセットになった義務としては魚類等の増殖が課せられている。

大浦池(富山県氷見)で見たけあらし。

大浦池(富山県氷見)で見たけあらし。

【気嵐】けあらし

海、川や湖沼で早朝など水面に立ちこめる霧状の水蒸気。

【後背低地】こうはいていち。バックマシュー、後背湿地とも。

堤防の裏側などの低地。洪水で水びたしになり、その後も水が引かず湿地状になってしまうこともある。

【砂丘湖】さきゅうこ。

海跡湖の一形態。砂の堆積によって入り江が海と切り離されたタイプが多い。砂丘湖は鳥取が有名。→【堰止め湖】参照

【自然湖沼】天然湖沼。

火山活動や造山活動による地殻変動、氷河の後退など自然の活動によって生まれた湖沼のことで、国内に面積1平方キロ以上の自然湖沼はたった98湖しかない。しかもその6割弱は北海道と東北。
種類としては、地殻変動によって生まれる規模の大きな断層湖。例として琵琶湖(滋賀)や諏訪湖(長野)がある。また、御池(宮崎)、蔵王御釜(宮城)などの火口湖、摩周湖(北海道)、池田湖(鹿児島)といったカルデラ湖。中禅寺湖(栃木)、大鳥池(山形)は堰止湖に入る。穏やかな自然活動で生まれたものには、サロマ湖(北海道)、八郎潟(秋田)などの海跡湖がある。分類がややこしいものとしては三日月湖(河跡湖)。自然活動によって生まれる場合もあるが、多くは人間による河道改修によって生まれる。

【堰止め湖】堰き止め湖、堰止湖、せきとめこ。

日本の自然湖沼の多くがこれに含まれる。いくつかのタイプに分類され、豪雨や地震による地すべりが原因となる震生湖(神奈川)のようなタイプ、陸地の上昇や堆積物によって海が切り離されてできたサロマ湖(北海道)などの海跡湖タイプ、中禅寺湖(栃木)のような火山由来のタイプ、めずらしいものとしては生物によって堰き止められたタイプもある。日本では植物由来だけだが、北米ではビーバーのような動物の手による堰止め湖もある。

【調節池】調整池、遊水池とも。

雨水調節池は開発に伴って造成されることが多いが、遊水池は調節池よりも規模が大きく河川全体の増水に対する緩衝地帯の役割をもつ。代表的なものに栃木県の谷中湖(渡良瀬遊水地)がある。

20160220145756雨水調節機能と親水機能をもった宮谷戸の大池(神奈川県横浜)は「都筑中央公園遊水池」の名ももつ。

20160301084842澄池(愛知県大府)は都市型の調整池を時間限定で開放しつつ、その役割を市民に理解してもらおうという試みがなされている。

弥奈池(愛知県大府)も調整池機能をもった池のようだが、かつては由緒ある池だったものを時代の変化に合わせてこのような形で残した可能性もある。

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この他、国営灌漑事業など大規模な水利ネットワークの中で、ダムと水路のあいだに設けられ流量を調節する純粋な灌漑目的の調整池もある。事例として戸田調整池(栃木県那須塩原)がある。

【沈殿池】ちんでんいけ。

炭鉱や鉱山などで工場廃液に含まれる微粒子を沈殿させる巨大な浄化槽みたいなもので、北海道の炭鉱跡地によく見られる。

【放生池】ほうじょういけ、ほうじょうち。

寺社の境内によく見られ、生き物の命を憐れむ仏教精神を体現するため、捕らえられた魚や亀などを放すための池。寺社の池に鯉や亀が多いのは、多かれ少なかれ放生池としての要素が含まれているためであろう。鯉も亀も仏教上は重要な生き物。また、大分県大分市には野池の固有名として「放生池」が使われている例がある。静岡県韮山の城池では、外道として釣り上げた亀を釣り人たちが放つ小さな池がかたわらにあり、これも現代版の放生池といえる。岡山県岡山市の龍王池では、毎年、鯉を池に放つ放生祭が行われている。

【陸水学】りくすいがく。

広義の湖沼学。日本陸水学会。初代会長は田中阿歌麿。