全国で駆除は成果を上げているのを実感。

動植物、魚類を含め外来種の駆除が全国的に行われるようになり、特にテレビ番組の「池の水ぜんぶ抜く作戦」が放映されて以降は、水抜きという手段がじつに身近なものになった感がある。あちこちの湖沼をめぐり歩いていても、近年は駆除の効果が確実に出てきていると実感する。もっとも日本にある99パーセント以上の湖沼は人間が造ったぐらいだから、そもそも水を抜くことは池の得意な機能といえる。

現在ではブラックバスやブルーギルといった外来魚の放流は「密放流」という犯罪行為とされ高額な罰金刑のほか、検挙に至るケースもある。その根拠となっているのが、2005年に制定された「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」という国の法律であり、これに加えて各自治体ごとにも独自の条例を定めて外来生物の飼育や生きたままでの移動などを厳しく規制している。三重県では釣ったブラックバスを生きたままクーラーボックスに入れてクルマに積んで移動しただけで逮捕されたという事例もあったと聞く。

これらの外来魚を最初に輸入、放流した経緯を見てみよう。

 

ブラックバスは芦ノ湖、ブルーギルは一碧湖。

ブラックバスについては大正時代に神奈川県の芦ノ湖に実業家が放流したのが最初とされる。その後も輸入、放流がくり返されたため、国内にはラージマウス種の他、亜種のフロリダバス系、寒冷地系のスモールマウスバスも広く分布した。

ブルーギルについては1960年に現在の天皇が皇太子時代にアイオワ州から15尾を持ち帰ったものが最初とされる。ただ天皇がその15尾を直接放流したのではなく、食糧目的で水産試験場で繁殖させたものが各県に配布されたようだ。湖沼に最初に放流された場所としては、静岡県の一碧湖の名が挙がっている。

外来種のアメリカザリガニは、同じく外来種のウシガエルの養殖用のエサとして日本の鎌倉食用蛙養殖場に持ち込まれた20尾が祖。繁殖したものが洪水で川に逃げだして、日本を席巻する第一歩を踏みだす。

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意外な外来生物。

日本の池ではすっかり定着している鯉(こい)だが、じつは多くは外来種。しかし鯉を駆除の対象とすることは稀である。

渓流魚としてもっともポピュラーなニジマス(レインボートラウト)も北米原産の外来種。ただし、漁業権の設定とともに積極的に放流されてきた。ブラックバスと同じようにルアーの対象魚なので、在来生物をエサとしていると思われるが、現在でもなぜかニジマスを駆除しようという話は聞かない。不思議だ。

全国の池に放流されているヘラブナも、国内外来種とでもいうべき存在。もともとは大阪府を流れる淀川原産のカワチブナを品種改良したもの。養殖池で育てられ全国の池に釣り用として出荷・放流されている。

さらに細かくいえば、イワナ、ヤマメ、メダカといった在来種のイメージが強いものでも、地域によって種類が違ったり固有種がいるので、たとえ保護目的とはいえ単純に放流を行うことは、外来種と同じような悪影響を環境に与える可能性があるというシビアな見方もある。

 

外来生物駆除のアイデア。

(編集中)

駆除用のカメ捕獲器

丸山公園の水生植物池(埼玉県上尾)

 

外来生物駆除の新しい課題。

ブラックバス駆除については、産卵床を一網打尽にする「伊豆沼方式」の全国指導や、水位調節が可能なため池等での水抜き、改修工事を機にした水抜き、ボランティアによる駆除作戦などが全国的に展開されるようになって十年ほど経過し、ここ数年の現地調査では相当な効果を上げてきたと実感する。散発的な駆除ではつながっている水系を通して外来魚が流通してしまうため、なかなか効果が見えにくかった時代が長かったが、全国的な機運の高まりと継続的な活動がつづけられた。おそらく駆除は、ある一定のラインを越えると急速に効果が見えるようになるものなのだろう。ここ数年、急速に外来魚、特にブラックバスの姿があちこちの池から消えた。ブルーギルについてはブラックバスほどの効果はまだ見られないが、いずれにしても極端な駆除活動が在来の生物にも影響していると個人的には感じている。

外来魚も移入されて十年、二十年、長いところでは三十年以上もの時間がたち、ある意味で新しい生態系が作られていたといえる。外来魚を完全駆除した池では、在来魚の姿もなく、ただウシガエルのオタマジャクシやアメリカザリガニばかりが異常繁殖している不気味な光景が広がっていることも多い。外来魚駆除と在来生物の放流、繁殖といったセットにして考えないと、捕食者を失なって古参の外来生物であるウシガエル、アメリカザリガニが殖えたようである。

植生に影響を与えるという意味で、外来魚よりもアメリカザリガニやミドリガメといった外来生物の方が、在来環境に対する悪影響が大きいという意見もあり、新たな駆除の発想が求められている。