「ポコ、早く土の中で腐っておしまい」
(武田百合子)

武田泰淳の妻、百合子の愛犬のポコがバスケットの蓋にクビをはさまれて死ぬ。
穴を掘り、遺体を横たえ、愛犬に最後の言葉をかけてやった。
言葉の粗さがかえって強い愛情をにじませる。

 

「余命を月単位で話さなければならなくなりました。」
(読み人知らず)

 

老いた人を見るとき、自然と尊敬の念がわく。死の覚悟とむかい合う毎日は、若いときは想像もできないだろう。