一つの物質を全合成するのに、化学反応を50ステップほど重ねる。終盤になるほど反応が難しくなるという。「世界初」への挑戦は、未踏の登攀ルートを切り開くピークハンターのようだ。「誇り高い自然が、人間に『作らせるものか』とあらがってくる」
(滝田邦明・早大栄誉フェロー)
自然はなぜいとも自然にそれほど難しい反応をやってのけることができたのだろう。
「自然科学の根っこを支えるような大事なものをちゃんとやるからには、世界制覇を目指さないと」
(香取秀俊・光格子時計の開発者)
地道で真面目な研究者の口から「世界制覇」という言葉出ると迫力がある。